これからヨーロッパに語学留学や就労される方は、必ず現地の銀行口座を開設されるかと思います。
今回は、ヨーロッパで銀行口座を開設する前に知っておきたい、基礎知識をまとめてみました。
EUの成り立ちと仕組み
銀行同盟の前に、欧州同盟(EU)の話を少し説明するよ
欧州同盟とは?
欧州同盟とは通称「EU(European Union)」と呼ばれ、1993年11月に発足されました。現在ではヨーロッパを中心にドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギーなど27ヵ国が加盟しています。
欧州同盟の目的は?
欧州同盟の目的は経済・通貨の統合により、協力関係を結ぶ同盟のことを言います。第二次世界大戦後にEUの前進、ECがアメリカなどの他国に対抗するために発足されました。
EU内の政策は?
EUに加盟することにより、現在では下記のような政策が行われています。
・EU内での移動時にはパスポートチェックの簡略化
・輸入・輸出による関税が撤廃
・通貨をユーロに統一
銀行同盟によりEUは10万€が保証
欧州中央銀行の役割
さて、ここからやっと金融関連に繋がるお話です。
EU内では統一通貨「ユーロ」を作り、更に関税撤廃によりEU内の金融対策を行ってきました。そのため、ユーロという統一通貨を国をまたがって管理をする機関が作られました。それが、欧州中央銀行(ECB)です。現在はドイツのフランクフルトに拠点があります。
なぜ管理機関が必要になるかというと、それはユーロ圏の金利政策行いヨーロッパの経済をコントロールするためです。
仮にヨーロッパが金融危機に陥った際には、ECBが金利をコントロールして景気回復に努めます。
銀行同盟とは?作られた背景
ヨーロッパでは共通通貨をECBが管理するから、安心安泰…とはいかず。
2008年以降にギリシャ経済危機、2012年にはスペイン金融危機などヨーロッパに悲劇が訪れました。2011年12月には一時ユーロが99円と100円を下回る事態にまで…。
その事態の収束が長期化し、EUとしての規則が不十分であることが原因となった。
その後、EU内での金融基盤を更に安定化させるためにBankinu Unionと呼ばれる「銀行同盟」が作られることとなりました。
銀行同盟では、下記が適応されます。
・単一監督制度(SSM=Single Supervisory Mechanism)
・単一破綻処理制度(SRM= Single Resolution Mechanism)
・預金保険制度(DGS=Deposit Guarantee Scheme)
この3つは後ほど詳しく説明するよ
欧州同盟の3つの役割
単一監督メカニズム(SSM=Single Supervisory Mechanism)とは
「単一監督メカニズム」とは、ドイツフランクフルトにある欧州銀行(ECB)が欧州の銀行に対し監督権を持つ仕組みです。加盟している銀行に対して、違反や違反の可能性がある場合に介入する権利があります。
単一破綻処理メカニズム(SRM=Single Resolution Mechanism)とは
「単一破綻処理メカニズム」とは、加盟銀行の破綻決定・処理を行う権限のことを指します。迅速な対応を行うことにより欧州内の金融機関への悪影響を軽減させる仕組みです。2015年1月より施行開始されています。
預金保険制度(DGS=Deposit Guarantee Scheme)とは
「預金保険制度」とは、加盟銀行が破綻した場合、その銀行の預貯金者に対して最大10万€の払い戻しを約束しています。払い戻しは7日以内に行われます。
日本でも同様の制度があり「預金保険制度(ペイオフ)」と呼ばれています。金融機関が破綻した場合、預貯金額の1,000万円とその利息が保証されています。国ではなく「預貯金管理機構(DICJ)」という外郭団体が管理・運営を行っています。
この制度により、EU内での銀行口座は安心して開くことができるんだね。やっと言いたいことまでたどり着けたね…!
ヨーロッパで銀行を開設する場合の注意点
ヨーロッパでは銀行口座を開設する場合、ここ最近人気なのは「チャレンジャーバンク」と呼ばれる、オンラインバンキングが人気です。
僕も便利で実際に口座を持っているよ
人気の理由は、
「わざわざ銀行窓口まで行って開設する必要がない」
「海外の銀行口座開設は主婦・学生・フリーランスなどは審査が通らないケースもあるが、チャレンジャーバンクは審査が通りやすい」
「ものの数分の手続きで口座開設が可能」
…など、実際に開設してみると分かるのですが開設から実際の日々の利用まで無駄なく非常に楽なのです。
本当にとっても簡単なのよね!
しかし、1つ懸念事項をあげるとすれば、チャレンジャーバンクはここ10年で設立された企業が殆どのため、多額の預金をする場合は破綻リスクに対しても考えておく必要性があります。
預金額保険制度から10万€(約1,200万)は仮に銀行が破綻したとしても保証されていますが、それ以上は保証対象外となりますので、ヨーロッパでスマートバンクを利用して預金をする場合は、複数の銀行に分散して預金するのがオススメです。
日本の預貯金保険制度(ペイオフ)は過去に1度
因みに日本ではどうなっているの?
日本では2010年に日本振興銀行が破綻し、1971年に作られた預貯金保険制度(ペイオフ)が初めて発動されました。
1,000万円を超える預金に関しては60%しか戻ってこなかった、などの悲しい実績もあります。
因みに複数の銀行機関を利用している場合は、それぞれで適応が可能です。同じ銀行で複数の口座を持っている場合は、合計の預金額からの算出となります。
世界各国で同様の仕組みがあるんだよ。日本でも銀行破綻などの最悪の状況に備えて1,000万円ごとに銀行口座を分散している人も多いよね。
日本の銀行での外貨預金はペイオフ適応外!
日本口座で外貨を保有している方も多いと思いますが、こちらはペイオフ対象外となりますので、日本の銀行口座で外貨を保有する場合は注意が必要です。
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